-国内外のバイオリソースを巡る様々な問題や取り組みについて、毎月ホットな話題をこのニュースレターで紹介していきます-


BioResource Newsletter  Vol.5 No.1

■ リソース関連イベント情報:

  詳細

■ リソースセンター紹介  No.30:

・両生類リソース   矢尾板芳郎・住田正幸

 

 

 広島大学大学院理学研究科
 附属両生類研究施設

べんの博士のうんちく講座

・連載第1回 あなたの腸はお花畑? etc.

 

 

 理研BRC 微生物材料開発室 辨野 義己

じょうほう通信 No.39:

・サーバ仮想化ソフトウェア「Xen」について

 

 

 〜 応用編 〜

shigenImage

2009/1/31 


このニュースレターのダウンロード PDF版はこちら  

バイオリソース関連サイトは以下のサイトからご覧になれます。

NBRP http://www.nbrp.jp/
SHIGEN  http://www.shigen.nig.ac.jp/indexja.htm
WGR http://www.shigen.nig.ac.jp/wgr/
JGR http://www.shigen.nig.ac.jp/wgr/jgr/jgrUrlList.jsp


  リソース関連イベント情報

 理研BRC国際シンポジウム 「研究基盤用微生物を考える」
     日時:2009年2月10日 (火) 9:30-17:40
     会場:ハイアットリージェンシー東京 (東京都新宿区新宿2-7-2)
 最先端バイオリソースの利用のための技術研修の参加者募集
     「嫌気性微生物の培養・保存に関する技術研修」

     研修期間: 2009年3月2日(月)- 3月3日(火)(2日間)
     実施場所: (独)理化学研究所 和光研究所 微生物系統保存棟内
     (申込みは締切ました)
 第3回国際バイオキュレーション会議(IBC2009)の開催
     日時:2009年4月6-19日 ドイツのベルリンで行われます。
     詳細はこちらから http://projects.eml.org/Meeting2009


詳細はこちらからご覧になれます。 http://www.nbrp.jp/

 

  リソースセンター紹介  No. 30

 

logo


   両生類リソース

      矢尾板芳郎(施設長・教授) 住田正幸(教授)
      広島大学大学院理学研究科附属両生類研究施設


イシカワガエル

 

 

 

logoa    当研究施設では40年にわたり両生類実験動物の開発に携わってきた。変態後、陸上で生活するカエルにとっては生き餌が必須であるため、国内種の系統開発のほかにも飼育管理システムの改良、飼料の安定供給方法の開発なども両生類研究と共に行ってきた。現在、両生類50種170系統3万匹の、野外系統及び突然変異系統等の特殊系統を保存維持している。また、日本や世界各地から1976年より約30年かけて野外採集した、9科27属112種320集団12,600匹及び、実験的に作製された特殊系統100系統4,000匹のカエルが凍結保存されている。平成14年から、東京大学浅島研究室と共にNBRPの一環としてネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis)を収集・開発して配布している。以下に当施設の両生類リソースの一部を示す。


 


         ネッタイツメガエル         

ネッタイツメガエル

図1:ネッタイツメガエル

logoa  ネッタイツメガエルは図1のようなカエルで、分子生物学が発生学の領域で頻繁に使用されたアフリカツメガエル(Xenopus laevis)を一回り小さくしたような外見をしている。アフリカツメガエルで蓄積された情報・知識がそのまま当てはまり、しかも類似の実験手技も使える。 特徴としては、@アフリカツメガエルは4倍体であるが、ネッタイツメガエルは2倍体で、ゲノムサイズがより小さく遺伝子解析がし易い、Aネッタイツメガエルは両生類で唯一、ゲノム構造が決定されている、Bネッタイツメガエルが生殖可能になるまでの期間は、アフリカツメガエルのほぼ半分である、などである。
   既に、近親交配を10代以上繰り返し、皮膚移植をしても拒絶反応が生じないようになっている。初期発生、器官形成、変態、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)などの研究領域で活用されている。イギリスでは A European Xenopus Resource Center が設立され、アフリカツメガエルやネッタイツメガエルの遺伝子組換えガエル等を配布することになっている。アメリカ合衆国でも同様の動きがあり、類似のセンターが樹立されることになっている。


      透明ガエル、「スケルピョン」      

logoa  カエルの皮膚は色素細胞に覆われているため、外部から内臓を観察することは容易ではない。解剖せずに内臓を観察できる実験動物が望まれていた。当研究施設では、昨年、生きたまま外から内臓が透けて見える透明なカエルを誕生させることに成功した(図2 (A), (B))。「スケルピョン」の作成に用いたニホンアカガエルには、虹色細胞の欠如した“ブラックアイ”と、黒色細胞の欠如した“グレーアイ”の2種類の色彩突然変異系統が存在する(図2(C))。

図2

図2:スケルピョン    (A) 成体の「スケルピョン」、血管や腹部の卵がすけて見えている。         
(B) 足が生えた「スケルピョン」のオタマジャクシ。一生にわたり体内臓器の成長過程も観察できる。
(C) 左上から時計回りに、野生型のニホンアカガエル、ブラックアイ、グレーアイ、「スケルピョン」。  

logoa  「スケルピョン」は、この2系統を人工交配して得られたもので、虹色細胞と黒色細胞の両方を欠いているため白く透けて見える。透明な生き物は魚類などではあるが、四足動物では自然界ではもちろん、実験動物としてもきわめて稀である。「スケルピョン」は、発生の初期から老化段階まで、同一個体の内臓を繰り返し、生きたままで解剖せずに観察できるため、成長にともなう内臓の変化、疾病(癌など)の発生や進行の過程、化学物質や物理的刺激の内臓や骨に及ぼす影響などを、経時的かつ簡便に低コストで評価できる。また、特定の遺伝子のプロモーター領域に蛍光タンパク質遺伝子をつないだベクターを「スケルピョン」に組み込むことで、その遺伝子が働いた時に発光するトランスジェニック「光るスケルピョン」を作ることも可能である。この技術を使えば、遺伝子発現の様子を外部からリアルタイムに観察でき、遺伝子の発現解析に非常に有効なツールとなる。今後、「スケルピョン」は、環境や医学や生物学などの分野において、新しい実験動物として利用価値が高いと考えられる。


   絶滅危惧生物の効率的な系統保存と資源活用(保全と実験動物化)   

logoa  イシカワガエル(図3(A))は奄美大島と沖縄本島の固有種で、鹿児島県と沖縄県で天然記念物に、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類に指定されている。緑色の地に金の雫をたらしたような斑紋で「日本一美しいカエル」といわれている。環境破壊やペット目的の乱獲などで野外での数が激減している。当研究室では、鹿児島県と沖縄県から採集許可を得て、2004年から野外産の雌雄8対を用いて人工交配を行い、実験室での保全を試みている。これまでに人工繁殖させた1-4年齢のカエル2,000匹が順調に発育しており(図3(B))、昨年の繁殖シーズンにはこれらの繁殖個体から2代目も生まれている。実験室での繁殖個体は、将来的に自力での存続が困難なほどの個体数の減少や、生息環境の悪化が起こった場合には、その効率的な保全のために放流などに用いられる。また、野外のイシカワガエルはこれまで実験動物として用いることができなかったが、人工繁殖により得られた個体については、実験動物としての有効活用が可能となった。現在、これらを実験材料として、いくつかの研究を進めている。なかでも、イシカワガエルの皮膚を調べ、生化学的手法により新奇の抗菌物質を同定している。これらの抗菌物質は、新たな抗生物質の開発へつながることが期待されている。■

 

図3
図3:イシカワガエル

(A) 日本一美しいとされ絶滅の危機にあるイシカワガエル(奄美大島産:緑色の地に金色の斑紋をもつ独特の体色)
(B) 実験室で人工繁殖させたイシカワガエル2年齢。





logo

  連載 べんの博士のうんちく講座 第1回

 


    あなたの腸はお花畑?

   私たちの腸内環境は、環境やライフスタイルによって一人一人異なります。近年の研究で、この腸内の棲む細菌が、生活習慣病からアレルギー、精神疾患まで、さまざまな病気に関係していることが明らかになりつつあります。腸内にすてきな環境を作ることは健康の第一歩。エキサイティングな腸内細菌の世界をちょっとのぞいてみましょう。


    驚くべき腸内細菌の底力
20世紀初頭、腸内には大腸菌や腸球菌など数種類の細菌しか存在しないと思われていましたが、現在は「分子生物学的手法」つまりDNA解析によって、便に含まれる細菌の種類を細かく識別することができるようになりました。その結果、ヒトの腸内には500〜1000種類、数にすると乾燥糞便1gあたりおよそ1兆個の細菌がいることがわかっています。腸内に存在する細菌の総重量は、一人あたりなんと1〜1.5kgにもなります。
    腸内細菌と健康は深く結びついています。うんちに含まれる菌や有害物質、細菌毒素などを調べて、腸内細菌の機能を解明することは、病気予防や老化防止に役立ちます。


    大腸がんやアレルギー、肥満とも関係が!?

   腸内細菌とかかわりのある病気としては、まず、大腸がんがあげられます。メカニズムの全容はわかっていませんが、高脂肪・高たんぱく質の食事を続けると、腸内環境が変化して悪玉菌が増え、これらが発がん性物質を産出したり、それらをがん化する物質を作ったりして、大腸がんのリスクを高めると考えられています。 さらに、アレルギー、肥満とも深い関係があることも報告されるようになり、いまや腸内細菌は現代医療のトップランナーになっています。


べんの博士: 理研BRC 微生物材料開発室室長 辨野 義己


 
 

  じょうほう通信  No. 39

    サーバ仮想化ソフトウェア 「Xen」 について  〜 インストール・設定編 〜


   1) Xenのインストール・設定について  


   前回はサーバ仮想化ソフトウェア「Xen」の概要について紹介しました。今回はCentOS 5.2(Red Hat Enterprise Linux互換のオープンソースOS)を使用して「Xen」のインストール・設定方法を紹介します。


   2) CentOS インストール(XenホストOS)  


   まずは「Xen」のホストOSとなる CentOS をインストールします。http://www.centos.org/ から CentOS のイメージファイルをダウンロードし、インストール用のDVD(又はCD)を作成します。インストールはGUIで通常通り進めますが、「Xen」を有効にするには「インストールパッケージ選択」画面で「仮想化」 のチェックを入れます。(図1


 

図
図1:パッケージ選択画面

   3) Xen上でのゲストOSのインストール方法  


   ホストOSのインストールが完了したらゲストOSをインストールしていきます。
rootユーザでログインして、CentOSプログラムメニューの[アプリケーション]→[システムツール]→[Virtual Machine Manager] で、「仮想マシンマネージャ」を起動します。(図2

図

    図2:仮想マシンマネージャ
    「新規」ボタンをクリックすると 図3のようなゲストOSインストールのウィザードが起動します。
    図3:ゲストOSインストールウィザード
    後はインストールウィザードの指示に従っていけばインストールが完了します。
  


   「準仮想化」と「完全仮想化」について  

   ゲストOSのインストール中に「準仮想化」と「完全仮想化」について選択する画面が表示されます。どちらが良いと言うことではなく、一長一短ですので目的にに応じて使用するのが良いと思います。

図5



図4
図4:仮想化方法選択

     まとめ     

   「Xen」とゲストOSのインストールは今まではコマンドライン上での設定が必要でしたが、CentOS5.1から原則GUI上で行うことが可能になりました。
   Google等で「Xen CentOS」などと検索すると沢山のサイトがヒットしますので是非参考にしてサーバ仮想化の利便性を実感して頂ければと思います。


(山川 武廣)   


logo

 


  次号予告 !来月は「コムギの海外ホット情報」です。



編集後記:  米国にオバマ新大統領が就任し新しい時代への期待が高まっています。日本のナショナルバイオリソース事業は4月から補助金化が決まり、これまでの活動が認められたことを嬉しく思っています。カエルも実験動物としての新たな可能性が見えてきているようですね。微生物リソース担当の辨野先生からは本ニュースレターに、全12回の特別コラムをいただきました。 幸先の良いスタートを切って今年も頑張ります。(Y.Y.)


連絡先:〒411-8540 静岡県三島市谷田1111
国立遺伝学研究所・生物遺伝資源情報総合センター
TEL 055-981-6885 (山崎)
E-mail brnews@chanko.lab.nig.ac.jp