3. ミヤコグサの農業形質に関するQTLとマメ科植物間のゲノムシンテニー ※1
ミヤコグサは、マメ科のモデル植物であり、その遺伝情報をダイズなどのマメ科作物の育種に応用することが期待されています。マメ科作物の重要形質には、開花、草丈、草型、莢の形質、種子重および種子成分などが挙げられ、これまで13の基本的な農業形質に関する QTL※2 がミヤコグサで明らかとなっています(図1)。また、近年ではミヤコグサを中心に他のマメ科作物とのゲノムシンテニーが明らかにされつつあり、ミヤコグサにおいて農業上重要な形質に関わる QTL を明らかにすることで、対応するマメ科作物の QTL 領域が推定できると考えられます。特に、種子重についてはミヤコグサで得られた5つの QTL のうち4つがダイズの既知の QTL と対応しており、他のマメ科作物においても保存性が高いことから、これら種子重の QTL はマメ科作物の中で同祖的な QTL である可能性が高いと考えられます(図2)。
※1 ゲノムシンテニー:遺伝子の配置など、ゲノム同士の構造が似ていること。
※2 QTL:Quantitative Trait Lodusの略で、日本語では「量的形質遺伝子座」という。背丈、収量など連続した数字で表すことのできる性質を「量的形質」と言い、そのような性質に影響を与える遺伝子領域をQTLと呼ぶ。
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