- 国内外のバイオリソースを巡る様々な問題や取り組みについて、毎月ホットな話題をこのニュースレターで紹介していきます -


BioResource Newsletter  Vol.3 No.4

リソース関連イベント情報:

 詳細

リソース情報センター便り No.8:

・第2期 ナショナルバイオリソース
  プロジェクトはじまる!

■ 注目! プロジェクト:

・Cytoscape

■ じょうほう通信 No.23:

・デスクトップ上の操作を録画しよう!

shigenImage

2007/4/27


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バイオリソース関連サイトは以下のサイトからご覧になれます。

NBRP http://www.nbrp.jp/index.jsp
SHIGEN  http://www.shigen.nig.ac.jp/indexja.htm
WGR http://www.shigen.nig.ac.jp/wgr/
JGR http://www.shigen.nig.ac.jp/wgr/jgr/jgrUrlList.jsp

   リソース関連イベント情報

 第2回 バイオキュレーション ミーテイングの開催
    日程:10月25-28日 米国San JoseのDolce Hayes Mansionで行われます。
   * 詳細はこちらからご覧になれます。http://biocurator.org/Mtg2007/

● 細胞工学:「使ってみたい!バイオリソース大集合」 が連載中です。
   2006年11月号から2007年12月号まで14回に渡って、国内のバイオリソースを紹介します。


  リソース情報センター便り No.8

  第2期 ナショナルバイオリソースプロジェクトはじまる!

   ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)は、ライフサイエンスの研究に必要な実験生物材料のうち、国が戦略的に整備することを認めたものについて、体系的な収集・保存・提供体制を整備することを目的とした文部科学省のプロジェクトです。 NBRP第1期は平成14年度から始まり、24のリソース中核機関と1つの情報中核機関で推進し18年度で終了しました。

   プロジェクト全体の成果報告はこれからですが、第1期終了時における公開リソース数約200万件、月間情報利用者数は10万人以上でした。しかしこのような量的成果以上に「意識改革」という大きな成果があったと思います。つまり、当事者が内輪の議論に終始することなく、常に外の利用者である研究者コミュニテイ側を向いてプロジェクトを推進し、利用者も積極的にフィードバックをすることによってプロジェクトを支える、という新しい文化が日本の研究者コミュニテイに芽生えたことだと思います。「芽生えた」ということは「ほんの少しだけ」という意味でもありますが。 もう1つはMTA(Material Transfer Agreement:リソースの分譲と使用に関する同意書)に対する考え方が広く浸透したことだと思います。

   こうした第1期の成果を活かし、2010年までに世界最高水準のバイオリソースを整備し、その活用を促進することを目標に、文部科学省は平成19年度から5年計画で第2期NBRPを実施することを決定しました。 2月には第1期プロジェクトで採択された生物種のみの公募が先行して行われ採択された中核機関は4月1日からプロジェクトを開始しています。詳細はNBRPプロジェクト情報公開サイト http://www.nbrp.jp/ をご覧ください。


   第2期NBRPでは特にリソースの質的向上や付加価値向上を目標に掲げ、
(1) 中核的拠点整備プログラム、(2) 情報センター整備プログラム、(3) ゲノム情報など整備プログラム、のほか(4) 基盤技術整備プログラムを設けています。(3), (4)のプログラム、および (1)の新規生物種についてはこれから公募が始まる予定です。

第2期 NBRP情報公開サイト
http://www.nbrp.jp/     

NBRP

(山崎 由紀子)    


  注目 ! プロジェクト : Cytoscape

  生物学的ネットワークを可視化する  


   今回は生物学的ネットワークを可視化できるCytoscapeというツールをご紹介します。Cytoscapeはカリフォルニア州立大学サンディエゴ校やサンフランシスコ校、Agilent社などにより開発されているJAVAによるオープンソースで誰でもフリーに使用できます。

         Cytoscape 公式サイト : http://www.cytoscape.org/ 

開発者に日本人の方が入っていて、Cytoscapeの開発状況や操作方法を日本語のブログで詳しく説明していますので使い方をマスターするには好都合です。また、日本語ドキュメント化プロジェクトも立ち上がっています。

         Cytoscape Info. : http://cytoscape.seesaa.net/ 

         日本語ドキュメント : http://cydoc.sourceforge.jp/  

Cytoscapeの機能をひと言で言うと、“関係データ(ネットワークデータ)”を “ノードと呼ばれる頂点の集合”と“エッジと呼ばれるノードを結合する辺の集合”で可視化し、それらをインタラクティブに操作できることです。ネットワークデータならば何でも利用可能です。

Fig.1

Fig. 1. PPIネットワーク

   例えば、タンパク質相互作用(PPI)(Fig. 1)・系統樹・オントロジーのDAG構造 (Fig. 3)・ハプロタイプネットワーク樹・パスウェイデータなどへの利用が考えられます。データはローカルでもネットワーク上のものでもインポートすることができます。

ツールにおいてはストレスのない操作性が求められますが、このCytoscapeの操作性の良さには驚きます。回転・拡大・縮小はもちろんのこと、予め用意されたレイアウトを選択することにより自動レイアウトでき(Fig. 2)、ドラック&ドロップで自由にノードやエッジを追加・編集し、レイアウト変更ができます。また、フィルターを活用することで注目したいものを検索し、結果を別のネットワーク図として抽出し、それを切り出して他のネットワークと結合して再利用することができます。


Fig.2

Fig. 2. 自動レイアウトサンプル(左から順に、Organic, Circular, Hierarchic レイアウト)


Fig.3

Fig. 3. オントロジーのDAG構造(左)とGOALL Viewer(右)
SHGEN の GOALL viewerにも似ていますが、Cytoscape
のストレスの少ない動きと高い汎用性に脱帽です。      


   視覚化されたネットワークは、PNG・PDF・JPEGといった形式でエクスポートする事も可能で画像編集し論文などに使用することも出来ます。もうひとつの特徴は、付随する情報の統合機能です。各ノード、エッジ、そしてネットワークには、それぞれアトリビュートと呼ばれる情報を付加する事が出来ます。これらの属性を元にノードの色や形を決定し、ネットワークの特性を視覚的に確認する事も可能です。PPIネットワークの場合、ノードはタンパク質に相当し、GO Term・ マイクロアレイデータなどをノードに付加して、マイクロアレイの発現データに基づくフィルタリング、GO Termによるノードの色分けなどの機能を用いてデータマイニングを行う事が可能です。

   以上、Cytoscapeについてご紹介しましたが、実際にイネのPubMed
の論文と遺伝子の関係を表すテキストファイルを作成しCytoscapeにインポートしてみましたところ、簡単にネットワーク図を可視化することができました(Fig. 4)。
この外にも解析・視覚化の色々な機能はプラグインと呼ばれる拡張ソフトを使う事により追加する事が可能ですし、プログラミングが出来る方でしたら、Cytoscapeの描画機能などを使った独自のマイニングアルゴリズムを追加したりする事が出来ます。ぜひ興味のある方は使ってみてください。

(土屋 里枝)


Fig.4

Fig. 4. PubMedの論文と遺伝子の関係

 予告:米国大学技術管理者協会 年次大会参加報告


   2007年3月8日から10日の3日間、米国サンフランシスコにて開催された2007年米国大学技術管理者協会AUTM (The Association of University Technology Managers)の年次大会に参加した。多くの大学の技術移転に係わる関係者が集うイベントである。 内容は、バイ・ドール法で有名なバイ議員らによる全体講演、教育セッション、分科会セッションなどがあった。全体の参加者は2,050人で、米国以外にも世界中からの参加者があり、日本からも大学知財本部関係者の職員の参加が見られた。
   今回の参加目的は、(1) 米国におけるMTA(有体物移転契約)に関する状況の把握と実務グループとのコミュニケーション、 (2) 米国における産学連携に関する情報収集を行うためでした。次回のニュースレターでMTAの話題を中心にご報告しようと、考えていま す。

鈴木 睦昭 (国立遺伝学研究所 知的財産室)

photo


  じょうほう通信 連載(23)

デスクトップ上の操作を録画しよう!


   デスクトップ上の操作を録画したいと思ったことはありませんか?今回は、「CamStudio」という無料の動画作成ソフトを使用してデスクトップ上の操作を録画してみましょう。作成した録画の編集にも挑戦してみたいと思います。

--CamStudioのDownload--

下記のサイトから「CamStudio 2.0t 日本語版 ダウンロード」をダウンロードして解凍します。
URL : http://nonn-et-twk.dnsalias.net/twk/CamStudio/


--動画の作成--

(1) 「解凍したフォルダ」→「CamStudio20t_jp_20050619」→ 「Recorder.exe」をクリックして、録画アプリケーションを起動します。それでは、早速デスクトップ画面を録画してみましょう。
(2) 「領域」から「選択領域」を選びます。その後、赤い録画ボタンを押し、録画するデスクトップ上の範囲を指定すると、デスクトップ画面の録画が始まります。デスクトップ上で録画したい作業を行いましょう。作業が終了したら、青い終了ボタンを押します。
(3) 終了ボタンを押すと、録画した動画の保存画面が開きますので、任意の名前をつけて保存すれば完了です。


CamStudio

--動画の編集--

   動画の編集には、WindowsXP / Vistaに付いているWindowsムービーメーカーを使ってみましょう。保存した先ほどの動画を、ムービーメーカーにドラッグ&ドロップします。その後、この動画を下のタイムラインにドラッグ&ドロップします。最後に、左メニューの編集手順に従って、説明などをつけて保存します。
加工・編集ができたら「ファイル」→「ムービーファイルの保存」を選んで、編集した動画ファイルを出力します。
   できあがった動画はいかがでしょうか?動画に記録することで、今まで複雑な説明をしなければならなかったものも、簡単に説明できるようになるかもしれません。これを機に動画作成にチャレンジしてみてください。

(渡邉 融)


Windows


編集後記 : 第1期のNBRPは、ほぼゼロからのスタートでしたが、第2期は立ち上げたシステムをポリッシュする仕上げのステージに入ります。目標は高く、気を引き締めて、効果的な情報発信に努めたいと思います。(Y.Y)

連絡先 :〒411-8540 静岡県三島市谷田1111
国立遺伝学研究所・生物遺伝資源情報総合センター
TEL 055-981-6885 (山崎)
E-mail BRnews@chanko.lab.nig.ac.jp